スタジオメンバーの孤独問題研究所のタナベソラさんの呼びかけで始まった「孤独・孤立を考えるひろば」は、現代社会で「孤独」をめぐって何が起きているのか、なぜ孤独が以前よりも社会問題として注目され、解決が難しいのか、話し合う場です。

まちづくりで孤独の問題に出会っている人、依存症の当事者として孤独に苦しんだ人、孤独な若者を癒したくリフレクソロジーサロンを営み人、介護の現場で高齢者の孤独を感じる人、孤独・孤立が社会問題となっていることに関心を持つ人など多様な立場のスタジオ・メンバーが集い、対話を行っています。

23年4月に第３回として、スタジオメンバーのみなさんが孤独のどのような点に関心あるのか、出し合う会を開催しました。その中で、孤独が社会問題となっているのは、マズローの欲求５段階説の第５の自己実現や第４の承認欲求よりも、もっと基盤にある第1の生理的欲求、第2の安全の欲求、特に”安全の欲求”が満たされていないからではないか、という問いが浮かび上がってきました。（詳細はフォーラムの「４月 企画会議」に掲載のアーカイブ動画をご覧ください（メンバーのみ））

そこで、孤独をめぐる下記の３つのテーマについて、マズローの欲求５段階説を考えながら、対話していこうという企画が始まりました。

• 孤独と怒り（諦め）
• 孤独と家族（職場・学校）
• 孤独と居場所　

１．孤独と怒り（諦め）

「わかってもらえない」という気持ちは、孤独にも怒りにもつながっていきます。怒りと孤独はどのような関係なのでしょうか？
また、さとり世代（参考：wikipedia）という言葉もあるように、今の20代は現状に対して怒るよりも諦める、現状を受け容れる傾向が強いと言われたりもします。
現代の「孤独」と怒り／諦めの関係について対話していきましょう。

２．孤独と家族（職場・学校）

現代社会で居場所（サードプレイス）の必要性が指摘されるのは、第１（家族）、第２（職場・学校）が居場所として不十分だから？
家族がいても孤独に感じる人が少なくないのは、どうして？ 「毒親」といった言葉など、家族との関係性にネガティブな表現が増えているように思えるけど、どうして？
家族や職場・学校は「安全」「つながり」のある場所なのか、考えます。

３．孤独と居場所

地域課題として「居場所が足りない」という声が都市でも地方でもよくあがります。なぜ、そんなに居場所への関心が高いのか？また、足りないと言われている「居場所」とは具体的にどのような場をイメージしているのか？ 前２回の対話も踏まえて考えていきます。

「孤独・孤立を考えるひろば」は、依存症を経験したタナベソラさんの「社会問題としての孤独について、他の方はどのように考えているのか知りたい」という思いからスタートしました。その思いに共感し、様々な立場、場面で「孤独」の問題を考えていたスタジオ・メンバーが集まり、対話を行っています。

孤独は複雑な問題であり、「孤独の人はこう」「これが孤独の原因」「こうすれば解決する」など一つの正解はありません。そこで、「孤独」には多面性があること、それぞれの立場・視点での経験を尊重し合うこと、孤独を感じる人の気持ちに寄り添おうとすること、「孤独＝友達がいない」など決めつけずに「周りに人がたくさんいても、深刻な孤独を感じる人がいる」など様々な状況、視点を持ち寄ることなどを大切に、問題を丁寧に話し合う場とすることを心掛けて運営しています。

そして、メンバーの多様性を活かすために、対話のテーマとなりうることを４月の会で出し合い、そこから３回のテーマとそれを貫く視点（欲求５段階説のどこが満たされていないのか）を設定して対話を行っていきます。