探求って課題解決方法を探るための手段じゃないの?

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みなさん、こんにちは!エンパブリックインターンの髙田です! 
 この記事は、10月31日・11月7日に開催された「大変革時代をポジティブに生きるための、生涯探究の学び方、つながり方とは?」についての参加レポートです。 

イベントでは、東京都市大学環境学部教授の佐藤真久さんにご登壇いただき、大変革時代をポジティブに暮らし、働いていくための「生涯探求とは何か?」についてお話いただきました。 

 「生涯探求の学び方」と聞いて「一生学ばないといけないの?疲れない?」とネガティブになる人が多いと思います。
 そこで今回は、本講座に参加したことで気づいた探求モードへシフトするためのポイントを自分なりにまとめみましたので、ご紹介させていただきます♪ 
https://empublic.jp/12832

 

課題解決と探求の違いとは?

現在、多くの学校や企業では、先生や上司から与えられた課題を掘り下げていき課題解決案を提案していく、「課題解決モード」が主軸となっているのではないでしょうか? 
そんな「課題解決モード」では、探求が課題解決案を探すための一つの手段となっており、ただ与えられた課題をこなしている状態になってしまいます。
私も探求を課題を解決するための方法を探すこととしてとらえていましたが、一方で先生から与えられた課題をただこなす授業は、正直とても退屈だなと感じていました(笑)  

一方で、探求とは、探求を広めたい人が課題を先出しするのではなく、探求を実践する人が探検・観察・遊びを通して自ら課題を探しに行き、「この課題を解決したい!」という気持ちを見つける、自分から主体的に取り組む課題解決です。
そして、これがこれから私達に必要な「探求モード」です。

私は、最近大学のビジネスプランを作成する授業でまさに探求モードを経験していますが、授業内でこの課題や問いを自ら発見する過程があると、課題解決に対して、ワクワクして取り組める事に気が付きました。 
そのため、探求は主体性を持てる楽しい課題解決だと感じました。

ここで、探求を広めたいけど「探求モードへシフトするの何もかも変えないといけないのかな…」とネガティブな気持ちになった皆さん!
実は課題解決モードと探求モードはちょっとの考え方のシフトで、変わるんです!

 

課題解決モードから探求モードへ徐々にシフトしていくには? 

ここからは、課題解決モードから探求モードへシフトするために大事なポイントを参加者の方々の印象的だった話をもとにまとめてみました。

エピソード① “対話を繰り返して課題を設定する”:
ボーイスカウトを通して子供たちの自主活動に関わっていた方からは、このようなお話がでてきました。

「中学生4人が放課後毎日ファミレスで、どんな課題を解決したいか、対話を通し課題の発見をする事に1年かけ、その後仮説を立て実行し課題解決方法を見つけたことで自信へと繋げた。私はただ隣でじっと4人の話を聴くだけで一切助言をしませんでした。」 

これを聴いて、探求にとってそもそも課題を見つけること自体にこんなにも時間がかかるんだということ、そしてこんこんと対話を繰り返していくことが大切だということに気づきました。
また、1年間も中学生の対話を見守っていた方のその姿勢も、学生の主体的な探求モードをより深めるために必要な関わり方なのかもしれないと感じました。

エピソード②  “無意識の壁を飛び越える”
普段看護師として働いている方からは、以下のようなお話がでていました。

「実際に看護師として働くだけではなく、通院しているおじいちゃんおばあちゃんの家に行ってその人達の現状を知る事で、誰のために何をやっているのかが分かった。」 

仕事上での看護師と患者さんという関係を飛び越えて、看護師としてではなく普通に暮らしを送っている一人の人としてみて、話を聞きにいったという行動力が凄いなと感じたと同時に、
探求モードでは、このように普段の関係性やこれまでの当たり前を見直して、自分で見にいく、聞きにいくという行動が重要だと感じました。

これらのお話や当日の意見交換を踏まえて、課題解決モードから探求モードへシフトする5つのポイントをまとめてみました。

  1.  私の想いから始まる問いを探す
    与えられた課題をただ解くのではなく、まず自分の気持ちや想いを話し、考えを共有し合う対話を繰り返しながら、自分が「この問題を解決したい!」「このテーマについてやってみたい!」という私の想いからはじまるテーマや課題を見つけるところが探求のスタートです。 

  2.  現場に直接行きワクワク・ドキドキの体験をする、課題を感じている当事者と出会う
    また、机上の空論にとどまらず、課題を感じている当事者に会いに行く、暮らしの様子を見る、地域で街歩きをする、地域のイベントに参加して住民と交流をするなど、実体験から新しく課題を見つけてみたり、想定していた課題の仮説の検証を行う機会を作っていくことが2つ目のポイントです。 

  3.  課題を与えるのではなく見守る
    さらに、指導する立場として部下や生徒に探求をしてほしいと思っていても、なかなかうまく進まなかったりすると、つい課題を先出ししたくなることもあると思います。 
    しかし、時間をかけて色々と試行錯誤し、自分ごと化できる課題を見つけ、解決方法を探していくというプロセス自体が探求モードにとっては重要です。 
    ぜひ、そのような立場の方がいらっしゃったら、一度もどかしい気持ちを抑えて見守ってみてはいかがでしょうか! 

  4.  自分なりの答えを対話を通して磨く
    社会の中で起きていることは多面的で複雑です。だからこそ、課題解決案を見つける過程の中でも、自分の視点だけにとどまらず、いろんな人と意見を交わしたり、新しい視点を取り入れていくことが必要です。 
    探求では、自分の中で正解を導きだすのではなく、周りの人と繰り返し対話を通して自分なりの答えを磨いていくことが大切です。 

  5.  課題の”思考”と現場に行く”経験”を交互に行き来する
    ここまでを通してまとめにもなりますが、探求モードでは、課題を整理して考える“思考”と現場に行ったり体験を通して新しい視点を得ることを絶えず行き来し続けることが大切です。 

そして、まさにこれらをモデル図として落とし込んだのが、佐藤先生の提唱している「WW型問題解決モデル」です。
WW型モデルでは、「魅力発見の過程」「課題発見の過程」「解決策提案の過程」「解決策実行の過程」の4つのステップを進めていく過程で上下にある思考モードと経験モードを行き来していくプロセスが表現されています。

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講座の中で紹介されたWW型課題解決モデル

探求の場を社会に増やすにはどうしたらいい? 

ここまで、探求モードに大切なポイントをあげてきましたが、講座内では探求モードについて学んだ後、参加者の方々と「探求の場を社会で増やすにはどうしたらいいか?」という問いをテーマに話し合いました。 

  • 日本では話をしている途中を遮り自分の意見を述べる人がいるため、話し合いの場ではなく聴きあいの場を作るべきではないか? 

  • 子供が夏休みを終えても、自由研究を続けたい時のために、地域にまざれる機会を提供するべきではないか? 

  • 敬語という言語が上下を作っており、フレンドリーに話しにくくする一つのきっかけになってはないか?
    など、さまざまな意見が出ました。   

また次に、社会で探求を実際に行っていく上での壁や問題意識を共有し合いました。 
・学校や企業にて探求を行うお金や時間の余裕はない 
・子供たちが自ら課題を見つけるには時間がかかりすぎてしまい、大人が助言をしたくなり、結局は子供たちに課題を与えてしまう 
という意見がどのグループでも共通で出ました。 

そして、話を深めていく中で「日本社会では講座などで、学んだ事を活かす環境や活かし方がわからないのが問題なのではないか?」という考えにもたどり着きましたが、中々答えが見つからず課題が残りました・・・

 

まとめ 

今回は、2回の講座を通して見えてきた課題解決モードから探求モードへシフトしていくポイントをまとめてみました。

とはいえ、僕も含め地域や組織、学校の中でこのような動きを広げたい、実践したいとお考えの皆さんも、本当に現場で実践していくのにはまだまだ難しいと感じているかと思います。

エンパブリックスタジオでは、引き続き「探求モードへシフトしていくポイントは何か?」「どうしたら学校や企業にて探求の時間を増やすことができるのか?」「学びを実践に活かすにはどうしたらいいか?」などの問いについて考えていきます!

毎月第一水曜日に開催される「studioワールドカフェ」では、前月にスタジオメンバーから「もう少し話したい」と話題になったテーマについて対話しています!

また、12月7日に開催される今月のスタジオワールドカフェでは以下のテーマを話し合います。
①若者とシニアはなぜ距離が離れてしまうんだろう? 
②人が関わり続けたいと思える場ってどんな場所だろう?
③芸術を、お金にならないのに、多くの人が学んだほうがいいと考えているのはなんでだろう?

今回の会で出てきたテーマもまた皆さんとお話しできたらと思います!
探求を日本のいろんなところに広げていくためにどうしたらいいか、一緒に悩んでみませんか?

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